鳥取砂丘の近くには世界を代表する砂でできた彫刻を展示する美術館があります。
その名も「砂の美術館」!
なんと砂でできた彫刻を専門に展示する美術館としては世界初です。
砂だけの美術館ってすごいよね
第13期にあたる今期のテーマは「チェコ&スロバキア編 ~盛衰の歴史と神秘の面影を訪ねて~」
世界大会で優勝したり、イベントの主催者をしたりしている世界トップクラスの砂像彫刻家が18人も集まって作り上げた、期間限定のアートが楽しめます。
水と砂だけで作られているので、会期が終われば崩されるその儚さも魅力的。
砂の美術館に行ってみた!
砂の美術館は鳥取砂丘から車で2~3分くらいで着きます。
なんなら歩いても来れる近さ。
砂の美術館のアートは駐車場から始まります。
この砂像、この写真のすぐ後に細いヘラみたいなので直してる方がいて、
ほんとに砂で作られてるんだ!
って改めてびっくり。
この美術館の館銘板がシンプルなのにめっちゃおしゃれで素敵。
中に入って、券売所までまっすぐ進みます。
パンフレットと当日券は1人1枚ずつ。
館内にはチェコとスロバキアの雑貨の展示がありました。
「もぐらとずぼん」じゃん!
この絵本好きだったな~
チェコだったんだ!
たまに現れる雑貨の展示を見つつ、砂像の展示室は2階なので階段を上ります。
壁も会期中のテーマに沿ってるはずなので、きっとプラハの町並みはこんな感じ。
プラハといえば錬金術とかゴーレムとか、ロマンがあって好きです。
ざっくりチェコとスロバキアの話
砂像を見る前にちょっとだけチェコとスロバキアの話を。
チェコとスロバキアより、チェコスロバキアという呼び方の方がなじみが深いかもしれません。
それもそのはず、チェコ共和国とスロバキア共和国は1992年にそれぞれ独立した国になったばかり。
古くからの歴史ある地ですが、チェコとスロバキアにわかれてからの歴史は30年ほどです。
場所はヨーロッパのここらへん。
プラハは1000年もの長い歴史の中で建てられた、さまざまな時代の多様な建築があり「建物の博物館」とも呼ばれています。
チェコビーズも有名だよね!
いよいよ砂像の展示室へ
いよいよメインの展示室に入ります。
展示室入る前の壁までかっこいい。
ではさっそく……
チェコとスロバキアの世界へ!
レッツゴー!!
「チェスキー・クルムロフ」
入ってすぐ目に飛び込んできたのはこの街並みの砂像。
チェコにあるヴルタヴァ川(モルダウ川)に囲まれた、絵本から飛び出したような世界遺産の街「チェスキー・クルムロフ」を再現したものだそう。
横もしっかり作りこまれていて、見ごたえ抜群!
この窓!カーテンまで再現されてます!
このクオリティはやばい
本物はオレンジ色の屋根と緑の丘が色鮮やかな対比になっていて「世界一美しい街」と呼ばれているそうです。
「ボヘミアン・パラダイス」
3人のお姉さま方が印象的な「ボヘミアン・パラダイス」
ボヘミアン・パラダイスとは後ろのギザギザした奇妙な巨岩の地域で、600万年前の地層の岩があったり、岩の上に城があったりするチェコの景観保護地区です。
このお姉さま方は中世ボヘミアに暮らしていたスラブ人だそう。
ところで
このお姉さま方生きてない?
マジで生き生きしてます。もはや砂じゃない。
「スピシュ城とモンゴルの襲来」
馬に乗った武人がめっちゃ強そうな「スピシュ城とモンゴルの襲来」
このおじさま眼力鋭い!
モチーフになっているスロバキアの東部にある世界遺産のスピシュ城は、13世紀にモンゴル帝国軍から国を守るために作られました。
1780年の火災で今は廃墟となっています。
「ヤーノシークの伝説」
「ヤーノシーク」は18世紀初頭に実在した義賊で、スロバキアの国民的な英雄だそう。
義賊なので権力者や金持ちを襲って金品を奪い、貧しい人に分け与えるタイプの盗賊ですね。
すごい!石川五右衛門みたい!
後ろの襲われてる人は多分お金持ちのおじさま。
めっちゃ目きらきらしてる~
映画になったり刺繍の図案になったり民族舞踊の演目になったりと、今でもスロバキア各地でかなり人気みたいです。
「天文時計とセドレツ納骨堂」
15世紀に完成したプラハ旧市街にある時計塔と、セドレツ納骨堂の壁面装飾を合体させた作品です。
この時計塔は時間がわかるだけではなく、太陽や月の位置、星座や農村の四季の作業もわかっちゃうすぐれもの!
今ではすっかりプラハの名物になっています。
左右にキリスト教の成人や大罪を擬人化した像があるのも特徴的。
7つの大罪もあるのかな?
そしてチェコには人の骨が装飾として使われている教会があります。
セドレツ納骨堂もそのひとつ。
モチーフとして時計塔のまわりにドクロを配置しただけで、実際は別々の所にあります。
実際見るとかなりインパクトあります。
ちょっとこわいね…
この時計塔とドクロの砂像、街並みが美しいチェスキー・クルムロフの裏側に展示されています。対比がやばい。
「ヤン・フスと火刑」
教会が絶対的な権力を持ってた14世紀のチェコで、教会のあり方を批判した宗教改革家のヤン・フス。
民衆に人気が出すぎて1415年に教会から異端として火刑にされます。
異世界アニメなら転生してそう…
話聞いてる民衆目線だとこう。
この上側が教会ですね。
処刑ギリギリでも教会に屈せず、意見を変えなかったヤン・フスは 、その後フス派が現れるなど民衆の道しるべになりました。
「リブシェの予言」
むかしむかし……チェコは予言能力のあるリブシェという賢く美しい女性が治めていたと伝えられています。
聖女っぽくて素敵!
この砂像のリブシェには、チェコ出身の画家であるミュシャの作風が受け継がれています。
「ルドルフ2世とルネサンスの影響」
プラハの文化発展に貢献した神聖ローマ帝国皇帝のルドルフ2世がモチーフになっているこの砂像。
ルドルフ2世はプラハの宮廷に世界中から芸術家や錬金術師、科学者、天文学者を集めて活動を援助しました。
この長いひげの人はイギリス出身の錬金術師ジョン・ディー。
下にあるの魔法陣かな?
壁の絵画もルドルフ2世に関係するもの。
野菜や果物で変わった肖像画を描く、イタリア出身のジュゼッペ・アルチンボンドが描いた、ルドルフ2世の肖像画です。
こうしたルドルフ2世の活動で、プラハにルネサンスが定着して芸術や科学の都として有名になっていきました。
なんだかとってもルネサンスな気分♪
「プラハの錬金術」
ルドルフ2世がハマりにハマったのがこの錬金術。
プラハに錬金術師を集めて、金の錬成や不老不死、惚れ薬なども研究させていたようです。
地下なのに火を使って薬品を蒸留したりしてたので、たまに爆発してたらしい。
錬金術!ワクワクするね!
横にはねずみがちょろちょろ……
今でもプラハには薬品や本がならぶ研究所跡や地下道が残っていて、錬金術の面影を感じられるみたいです。めっちゃ行きたい。
「プラハ城」「カレル橋とヴルタヴァ川の風景」
展示室のいちばん奥のスペースには、上部分に「プラハ城」、下部分には「カレル橋とヴルタヴァ川の風景」がどーんと展示されています。
プラハ城は世界で最も大きく古い城とも言われていて、リブシェの予言によって870年頃に建てられたという伝説があります。
リブシェってさっきの聖女様!
歴史的にも貴重なプラハ城は、城下町とともに1992年に世界遺産に登録されました。
プラハ城と旧市街に架かっているカレル橋は、14世紀にカレル1世の命令で作られました。
きれいなアーチ状の橋で、欄干には30体の聖人の像が並んでおり、下にはヴルタヴァ川が流れています。
このカレル橋も1992年に世界遺産に登録されています。
「ゴーレム伝説」
ゴーレム!来ましたねこれ!!
ヘブライ語で胎児を意味するゴーレムは、ユダヤ教の古い伝承に登場する土人形です。
ラビであるレーヴによって作られましたが、レーヴがなにかの約束を破ったので暴走し、しかたなく土に返したそう。
このゴーレム、今でもプラハのシナゴーグの屋根裏部屋に眠っているといわれています。
砂なのにゴーレムの土っぽさやばいね
それではここでゴーレムの作り方についておさらいしましょう。
「中欧の野生動物」
中欧は野生動物の宝庫!
スロバキアのタトリ山地やチェコのシュマバ山地などの原生林は国立公園に指定され、たくさんの動物が暮らしています。
この動物たちめっちゃ賢そう。しゃべりそう
ふくろうが飛んでる暗い森って最高に雰囲気があって素敵。
「プラハ窓外投擲事件」
プラハでは数世紀に1度、窓から人が投げ落とされるという怪事件が起きています。
現場は当時のプラハ市庁舎。
プロテスタントがカトリックの弾圧に反発して抗議活動として行われたようです。
作品のモチーフになっている事件は、1419年のフス戦争のきっかけになった1回目の窓外投擲事件です。
窓の下の人たち目線で見るとこう。
めっちゃ立体感あるよね
第2回は三十年戦争のきっかけとなった1618年、第3回は1948年(これは推定)、4回目は未定。
文学「フランツ・カフカ」
フランツ・カフカはチェコの小説家!
この砂像は右奥にカフカの自画像、そしてカフカの『変身』の朝起きると毒虫になっていたあの有名な場面です。
カフカの変身は短めなのにインパクトあるよね~
シーツの質感もめっちゃリアル!
手前の「KAFKA」の文字は変身の表紙絵らしいです。かっこいい!
「民族復興運動の音楽家たち」
チェコ人としての誇りを取り戻そうとする民族復興運動の時代の音楽家の砂像です。
今回の砂像のドヴォルザークやスメタナ、ヤナーチェクといった音楽家たちは、チェコの景色や伝統音楽を取り入れた楽曲を作り、復興運動を後押ししたそうです。
音楽の教科書に出てきた気がする
音楽室の後ろに飾ってある肖像画みがありますよね!
ヒゲのもっさり感まで再現されてるのほんとにすごい。
「ビロード革命と現代化」
「ビロード革命と現代化」の砂像!
ついに近代だね!
右側は政権交代を求めるデモ行進です。
1918年にベルリンの壁が崩されたことがきっかけ。
デモ行進の影響で共産党の上層部が辞任して、争いもなく社会主義から民主主義国家になりました。
「ドラゴン伝説」
世界中で人気なドラゴン、チェコにも伝説が残っています。
ドラゴン伝説はロマンあるな~
これで展示会場はひとまわりしました!
3階にはお土産屋さんも
3階に上がるとチェコのパンフレットがおいてあるブースがありました。
この砂像…
右側に進んでいくとお土産屋さんがあります。
周りは体育館の2階みたいに、上から下をのぞけるスタイル。
ここからだと下から見るのとはまた違って、細かいところまで作りこまれた裏側も見れます。
さっきまで見上げてた砂像が真下にある不思議な感覚。
外にも展示が…?
3階から外に出ると、屋外展示として人形劇とマリオネットの砂像が展示されています。
カクカクした線が人形感ありますね。
マリオネットってチェコなんだ!
屋外展示で風もありますし、あまり近寄れないからかもしれませんが、中の展示の方が力入ってた気がします。
美術館の営業時間と注意すること
営業時間 | 平日・日曜 9:00~16:00、土曜 9:00~17:00(最終入館30分前) |
定休日 | 例年1月初旬から4月末くらいまで休館予定 |
駐車場 | 美術館前に34台、展望駐車場に184台 |
入場料 | 一般600円/小中高生300円 |
※2021年8月現在短縮営業中です。
今回の「チェコ&スロバキア編」の展示は、会期が延長されているため2022年1月3日まで見ることができます。
また、新しい砂像を作ったり館内整備のために、毎年1月初旬から4月末くらいまでは休館だそうです。
他の美術館よりも休館が長めだから気をつけてね!
新しい展示のオープン日はその年によって違うので、お出かけ前に公式ホームページをチェックしてみてくださいね。
→鳥取砂丘「砂の美術館」公式ホームページ
まとめ:砂の美術館で気軽に世界旅行に出かけよう!
これで全部砂でできてるなんて信じられない!
涼しかったし、ゆったり楽しめるから休憩にもいいかも
今期のテーマ「チェコ&スロバキア」はファンタジー好きにはたまらない展示内容!
展示は屋内なので、外の天気に関係なくゆっくりと世界観に浸れました。
鳥取に来たらぜひ砂の美術館で「砂で世界一周」してみてくださいねっ!